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胸を打つ台詞を生み出す方法『ダイアローグ 小説・演劇・映画・テレビドラマで効果的な会話を生みだす方法』レビュー

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『ダイアローグ 小説・演劇・映画・テレビドラマで効果的な会話を生みだす方法 』

著:ロバート・マッキー 訳:越前敏弥  刊:フィルムアート社

発売日:2017/10/25 ジャンル:文学理論 国:アメリ

 

すぐれた作品は、読者や観客をいわば超能力者に変身させる。劇的な会話は、語られないふたつの領域、すなわち、登場人物の内面と読者や観客の内面とを結びつける力を持つ。

 

こんな人にお勧め

・創作活動(脚本・小説執筆等)をしている方

・もっと物語を深く理解したいと思っている方

 

内容

60名以上のアカデミー賞受賞者を輩出した、世界で最も影響力のあるロバート・マッキーの物語創作講義!

 

レビュー

本書は、世界で最も注目されているシナリオ講師であるロバート・マッキ―氏が、魅力的なダイアローグ…つまり、台詞を生み出す方法を、一冊に纏めた本であります。

彼に教えを請うた受講生は、ピーター・ジャクソン(『ロード・オブ・ザ・リング』監督・脚本)ポール・ハギス(『ミリオンダラー・ベイビー』脚本)アキヴァ・ゴールズマン(『ビューティフル・マインド』脚本)ピクサー・アニメーション・スタジオの脚本チーム、デヴィッド・ボウイなど、多岐にわたります。これほどまでに錚々たる一面に影響を与えた人物の本を、読まない理由は無いでしょう。創作活動をしている人にとって、本書は必読の書だと言えそうです。もちろん、もっと深く物語を理解したいと思っている方にも、お勧め出来る本です。

ただ、少し文章が堅いので、理解するのには時間がかかるかもしれません。その事を念頭に入れたうえで、本書は読んでいく必要があると思います。

クエンティン・タランティーノエルモア・レナードの映画や本を読めば明らかなとおり、魅力的な台詞を作り出す事は、魅力的なキャラクターを生み出す事につながります。そうなったら必然的に、その作品は「面白い作品」と、鑑賞者に評価してもらいやすくなります。では具体的にどうすればそのような台詞を生み出せるのでしょうか?

本書にはその方法が色々書かれていますが、私が一番重要だと思った箇所は、登場人物の生まれや育った環境、学があるか無いか、その人物は、どのような思想を持ち、どのような文化的背景のある国で育ったのか…を、きちんと設定すべきだと論じている部分です。

本書中には、以下の台詞が引用されています。どれも皮肉なめぐりあわせに苦悩している事を表す台詞ですが、その台詞を聞いた鑑賞者は、それらの台詞に、それぞれ異なった印象を抱く事になる筈です。

 

・あす、あす、そしてあす

 一日一日と小刻みに忍びおり

 時の記録の最後の一語にたどり着き

 きのうという日はすべて、愚か者たちのために

 塵と化す死への道を照らしてきた。

 『マクベス』のマクベス

 

・世界じゅうのあらゆる町に酒場は山ほどあるのに、おれの店に来るとはな。

 『カサブランカ』のリック

 

・わしはこの波に乗って、おまえと闘う。何もかも打ち壊す無敵の鯨よ。最後までおま        えとつかみ合い、地獄のただなかからおまえを刺し、今際の息にも憎しみをこめて、お   まえの面に吐きかけてやる。『白鯨』のエイハブ

 

・それが悪いってわけじゃないんだけど。〔ゲイと勘違いされたときの嘆き文句〕

 『となりのサインフェルド』のジェリー

 

どれも名台詞だと思います。これらの台詞を放った人物達は、似た様な事を言っているにも関わらず、育った環境が違う為に、大分違う言い回になっていますね。

という訳で、今回のレビューを終えます。本書を読む事は、著名なシナリオ講師の授業を聞く様な事だと思います。しかも、本物の授業と違って、本なので何度も読む事が出来ます(当たり前ですが)なので、とても有意義な読書体験になる筈です。是非読んでみて下さい。

 

ダイアローグ

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