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衝撃!非行少年達の実態!『ケーキの切れない非行少年たち』レビュー

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『ケーキの切れない非行少年たち』 著:宮口 幸治 刊:新潮社

 

私が驚いたのは約8割の少年が「自分はやさしい人間だ」と答えたことでした。どんなにひどい犯罪を行った少年たち(連続強姦、一生治らない後遺症を負わせた暴行・傷害、放火、殺人など)でも同様でした。当初、私は耳を疑いましたが、どうやら本気で思っていたのです。

 

内容

児童精神科医である筆者は、多くの非行少年たちと出会う中で、「反省以前の子ども」が沢山いるという事実に気づく。少年院には、認知力が弱く、「ケーキを等分に切る」ことすら出来ない非行少年が大勢いたが、問題の根深さは普通の学校でも同じなのだ。人口の十数%いるとされる「境界知能」の人々に焦点を当て、困っている彼らを学校・社会生活で困らないように導く超実践的なメソッドを公開する。

 

こんな人にお勧め

・少年犯罪、又は犯罪を犯した少年達に関心がある方

・知的障碍者がおこす問題に対して、関心がある方

・現行の少年犯罪者を更生させるシステムに、不満を持っている方

 

レビュー

私は最近、あるユーチューバーに嵌っていて、彼の動画を良く見ています。

彼の名は『懲役太郎』なんと前科3犯で、元ヤクザの肩書を持つらしいです。ついにヤクザもユーチューバーになる時代か…。と、初めて彼の動画を見た時は面食らったものです。

その懲役太郎さんがアップした動画の中に、気になる題名の動画がありました。それが↓です。

 

 この動画を見て、私は衝撃を受けました。そして、知的障害を持つ少年達は、何故犯罪行為に手を染めてしまうのか?その理由が知りたいと思った私は、本書『ケーキの切れない非行少年たち』を手にとりました。

本書に書かれていた事例は、社会の落とし穴というか、非情な現実というか、なんというか…ともかく、救いの無い話でした。

本書で扱われている少年達は、IQが大体70~80くらいの、犯罪を犯してしまった少年達です。それくらいのIQがあれば、普通の生活はおくれる(おくれてしまう。という言い方の方が正しいのでしょうか?)ので、たとえ知的障害者に分類されてしまうような子であったとしても、障害の発見が遅れ、適切な補助を受けられず、そのまま放置されてしまうのです。そしてその結果、犯罪を犯してしまうと、宮口氏は仰ります。

彼等は、いい意味でも悪い意味でもピュアです。なので、周囲の大人達から言われた事を素直に信じてしまう。なので、冒頭に引用した宮口氏の言葉通り、周囲から「君は良い子だね」と言われて育てば、たとえ犯罪行為に手を染めたとしても、ずっと自分の事を「良い子」だと思い続ける。また、欲望に忠実な為、犯罪行為を犯しやすく、また、健常者に比べて自制が効かないケースも見受けられると、宮口氏は仰います。

そのような状態にある彼等を、そのまま放っておくのは、本人にとっても社会にとっても危険であり、彼等に対して適切な指導を行う必要があるのですが、現行の少年犯罪者更生システム、或いは軽度の知的障害を持つ子供を正しく導く為のシステムは、その役割を果たしていないと、宮口氏は警鐘を鳴らします。

当たり前と言えば当たり前の話しですが、犯罪者を刑務所の中で養うのにも、税金がかかります。しかし、たとえなんらかの障害を持っていて、ハンディを抱えていたとしても、働いてもらう事さえできれば、逆に国や地方自治体に税金が入ってきます。なので、軽度の知的障害を持つ人達を救う事は、社会にとってもプラスになる行動なのです。この問題は、真剣に考えていく必要がある問題だと思います。

という訳で、今回のレビューを終えます。本書は、あまり知られていない社会問題を白日の下に晒してみせた名著だと思います。是非一度、読んでみて下さい。

 

ケーキの切れない非行少年たち(新潮新書)