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異国の地に取り残された、二人の男女『シェルタリング・スカイ』レビュー

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シェルタリング・スカイ』 監督:ベルナルド・ベルトルッチ 

              脚本:ポール・ボウルズベルナルド・ベルトルッチ
                 マーク・ペプロー

              公開:アメリカ 1990年12月12日 日本 1991年3月29日

              原作:ポール・ボウルズ著『シェルタリング・スカイ

 

内容

北アフリカの茫漠たる砂漠地帯。ニューヨークから来た作曲家のポートと、妻で作曲家のキットは、かつての激しい愛も情熱も失っていた。異国の熱気に誘われるまま、ポートは土地の女の肉体をむさぼり快楽の限りを尽くし、一方のキットも、旅に同行した青年ジャックとの情事にふける。二人の愛の果ては…。ポール・ボウルズの代表作を巨匠ベルナルド・ベルトルッチ監督が激しく濃厚なエロスと詩情豊かに映像化!

 

受賞歴

第48回ゴールデングローブ賞 音楽賞/監督賞
第44回英国アカデミー賞 撮影賞/プロダクションデザイン賞
第46回イタリア映画批評家協会賞 シルバーリボン賞(撮影賞)
第16回ロサンゼルス映画批評家協会賞 音楽賞
第56回ニューヨーク映画批評家協会賞 撮影賞

 

レビュー

本作『シェルタリング・スカイ』は、ポール・ボウルズというアメリカの作家が書いた本を映画化したものであり、ベルナルド・ベルトルッチが『ラスト・エンペラー』を監督した後に撮った作品です。ちなみに、音楽は『ラスト・エンペラー』と同じく、坂本龍一が担当しています。

内容は、特にあてもなく北アフリカの地を訪れた二人の夫婦が、アイデンティを失い、孤独に苛まれるというもの。いわゆる芸術映画に分類される作品なので、派手な作風を期待すると、大きな肩透かしをくらう事になると思います。

特筆すべきは、物語の舞台となった、北アフリカ大陸の美しい風景でしょう。原作の時点でその描写には力が入っていましたが、そこにベルトルッチの手が加わった事で、より一層、その風景描写に磨きがかかっています。風景そのものに、フェティシズムというか、蠱惑的な魅力すら感じられます。

物質的に何不自由していない筈のアメリカ人の夫婦ですが、何故だが二人の心は満たされず、まるで砂漠の地の様に乾いています。そして、その渇きを埋めるようにアフリカ大陸を訪れますが、何も得られず、むしろ自己の最大の拠り所である、アイデンティティーすら失ってしまいます。

人というのは、誰かとの繋がりの中で、自身の存在意義を見出していく生き物です。知り合いも存在せず、言葉も通じず、目にする景色や食べ物すら異なる異国の地に、理由も無く滞在するのは、非常に危険な事なのです。

雄大な砂漠の国の風景は、人間の存在意義が、いかに脆いものなのかを、鑑賞する者に強く訴えかけてきます。ベルトルッチは西洋文明から切り離された異国の地を撮るのを得意とする監督ですが、本作は彼が撮影した数多の作品の中でも、トップクラスに印象が残る作品だと思います。

という訳で、今回のレビューを終えます。面白い映画なので、是非一度鑑賞してみて下さい。

 

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