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戦闘美少女とは何者なのか?『戦闘美少女の精神分析』レビュー

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戦闘美少女の精神分析』 著:斎藤 環 刊:筑摩書房

             発売日:2006/5/1(オリジナル版は2000年4月)

             ジャンル:社会学 国:日本

 

内容

ナウシカセーラームーン綾波レイ…日本の漫画・アニメには「戦う少女」のイメージが溢れている。筋肉質なアマゾネス系女戦士とは全く異なり、「トラウマ」を持たない可憐で無垢な戦闘美少女。この特殊な存在は、果たして日本文化のみに見られる現象なのか。彼女たち「ファリック・ガールズ」の特性と、それを愛好する「おたく」の心理的特性を、セクシュアリティの視角から徹底的に分析する。

 

レビュー

現代日本に住む方ならば、一度は「戦闘美少女」の姿を目にした事があると思います。ここでいう戦闘美少女とは、主にアニメに出てくる、やたら目と胸がでかくて、変な髪の色をしてて、露出度の高い格好をして、よく分からない化け物と戦う美少女の事です。

巷には、そういった特徴を持つ戦闘美少女もののアニメが溢れています。はっきりいって、私はいくら世間での評価が高くても「ああ、そういう系の作品ね…」と思ってしまうタイプなので、戦闘美少女もののアニメは好きではないのですが。

本書は、精神科医であり、批評家でもある斎藤環氏が、「戦闘美少女」という概念に対して、真面目に考察をなさった本です。人によっては、なんでそんな下らない事を真面目に考察したんだ?と思われるかもしれません。が、斎藤環氏は、前述したような「戦闘美少女ものの作品」が、海外ではあまり見られない事に気付き、何故日本ではそのような作品が膨大に消費されているのか?何故そういった作品が海外では作られないのか?と疑問に思った事が、本書を執筆する動機になっているらしいです。

本書は元々2000年に発表された本である為、本書で論じているような内容に、いささか古臭い物を感じざるは得ませんが、斎藤環氏のような知識人が、真面目にポップカルチャーを考察している本は中々稀少である為、今からでも読んでみる価値は十分にあると思います。

難点としては、本著作の中で論じられているアニメのラインナップが古い為、現代の読者にはイメージしづらい部分がある事だと思います。実際、私はせいぜいナウシカくらいしか分かりませんでした。あとどうでも良いと言えばどうでも良いのですが、変身美少女と魔法少女って、何か違うんでしょうか?本著作ではそれぞれ区別が為されているのですが…。

また、扱う題材に反して、内容自体は割と難しかったり、必ずしもアニメ好きな方を賛美する語り口ではない為に(別に否定している訳でもありませんが)人によってはその部分に拒否反応を示される方もいると思います。その辺の事情を考えると、本書は結構、人を選ぶ本なのかもしれません。

ですが、私は「ああ、アニメをそういう風に見る事も出来るのかー」と新しい視点を得られ、色々と腑に落ちるところもあったので、刺さる人には刺さる本だと思います。個人的に一番面白いと思った箇所は、日本的空間と、西欧的空間の考え方の違いについて論じている箇所です。

という訳で、今回のレビューを終えます。普段アニメを見る人よりも、どちらかというと、普段アニメを見ない人に本書をお勧めします。是非読んでみて下さい。

 

戦闘美少女の精神分析 (ちくま文庫)

戦闘美少女の精神分析 (ちくま文庫)

  • 作者:斎藤 環
  • 発売日: 2006/05/01
  • メディア: 文庫