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異常犯罪を研究した、衝撃のノンフィクション 『FBI心理分析官―異常殺人者たちの素顔に迫る衝撃の手記』レビュー

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FBI心理分析官―異常殺人者たちの素顔に迫る衝撃の手記 

ロバート・K. レスラー&トム シャットマン著 相原真理子訳   早川書房

発売日:2000/12/1(オリジナル版は1992年) ジャンル:ノンフィクション 国:アメリ

 

内容

被害者の血を飲む殺人鬼、バラバラにした死体で性行為にふける倒錯者、30人以上を殺害したシリアル・キラー…異常殺人者たちを凄惨な犯罪に駆り立てたものはなにか?FBI行動科学課の特別捜査官として数々の奇怪な事件を解決に導き、「プロファイリング」という捜査技術を世界中に知らしめて『羊たちの沈黙』や「X‐ファイル」のモデルにもなった著者が、凶悪犯たちの驚くべき心理に迫る戦慄のノンフィクション。

 

レビュー

『怪物と闘う者は、その過程で自分自身も怪物になることがないよう、気をつけねばならない。深淵をのぞきこむとき、その深淵もこちらを見つめているのだ』…これは本書の序文に書かれている言葉です。聡明な方はすぐに気付いたかもしれませんが、この言葉は偉大な哲学者、ニーチェの著作に書かれた言葉の引用です。本著作を発表したロバート・K・レスラーさんは、講義や発表の際には、必ずこの言葉を聴衆に見せる様にしているそうです。なんでもこの言葉は、異常犯罪を調査する捜査官の心情を、ぴったり表しているんだとか。実際、異常犯罪者に深入りし過ぎてしまった結果、精神に異常をきたしてしまった捜査官も存在するらしいです。

本著作は、タイトル通り元FBI捜査官であるロバート・K・レスラーさんが発表した、異常犯罪に対する詳細な記録と解説が為された本です。本著作の題材として選ばれた連続殺人犯は、デッド・バンディ、チャールズ・マンソンジョン・ウェイン・ゲイシー等、日本でもその名が知れ渡っている、凶悪な面々ばかりです。レスラーさんは、彼等のような異常犯罪者の研究を、長年に渡って続けてきました。本著作は、レスラーさんのライフワークを結晶化させた自伝なのです。

皆さんは、「連続殺人犯」と聞くと、どのようなイメージを持たれるでしょうか?『アメリカン・サイコ』のパトリック・ベイトマンでしょうか?それとも、『羊たちの沈黙』のレクター博士でしょうか?

レスラーさん曰く、上記に挙げたようなフィクションの中に登場する「連続殺人鬼」は、大抵の場合、現実に存在する連続殺人鬼と、その人物像がかなり乖離しているそうです。我々素人が空想の中で描き出した「連続殺人鬼像」などかわいいもので、現実の連続殺人鬼はもっと悍ましい存在なのだと、レクターさんは言います。

とんでもない迫力がある本です。はっきり言って、本著作を読んでしまった後では、その辺のフィクション作品は楽しめなくなってしまうと思います。なにせ、本著作に書かれた内容は、現実におこった事件、若しくは現実に存在する(或いは存在した)人物にフィーチャーをあてているのですから。真に迫るリアリティに比べたら、空想上の世界に存在する恐怖感など、全く大した事ありません。

逆の言い方をすれば、何か創作活動をしている人にとって、本著作は必読の書と言えると断言できます。(まあ、その人が作ろうとしている題材にもよるでしょうが)自分の作品に登場する「イカれた奴」にリアリティを持たせたければ、穴が空く程本著作を読みまくって、研究しましょう。「イカれた奴」を作り出すには、現実に存在した「イカれた奴」を研究するのが、一番手っ取り早い手段です。

勿論、単純に連続殺人犯の生態(?)に興味を持っている人にも、本著作をお勧めします。最も、何度も言う様に本著作はノンフィクションなので、娯楽作品を読んだ時のようなカタルシスは、本著作からは得られません。むしろ、気分が落ち込んでしまう可能性が大きいような気がします。本著作には、実際に連続殺人犯がとった、犯行方法が紹介されていますが…うーむ、凄惨というか悍ましいというかなんというか…とても同じ人間がやった事だとは思えません。でも同じ人間なんですよね…。

また、本著作の中では、実際にFBIが異常犯罪を調査する時に使用している「プロファイリング」の手法が紹介されています。プロファイリングは科学的根拠に基づいている訳では無いので、間違っている場合もあるらしいですが、それでもFBIがプロファイリングを使い続けている理由は、その方法が確かな成果を上げているからなのでしょう。

個人的に興味深かったのが、連続殺人犯の殆どが男性であり、そして幼少期、或いは少年期に、精神的、もしくは身体的な虐待を受けていた経験があると述べられていた箇所です。このような知識を手に入れたからといって、実生活に役立つ訳でもありませんが…。

という訳で、今回のレビューを終えます。この本読んだのは、もう大分前なのですが、とても面白い本だったので、今回紹介させて頂きました。是非読んでみて下さい。

 

 

 ↓本書の続編です。