ウゴのレビューサイト

ウゴのブックレビュー

私ウゴが、読んだ本と、たまに映画と音楽の紹介をします。

そこらのホラー映画より余程怖いドキュメンタリー映画 『スーパーサイズ・ミー』レビュー

f:id:Beelzebul:20201230204601j:plain

スーパーサイズ・ミー 監督・脚本 モーガン・スパーロック
公開 アメリカ:2004年5月7日 日本:2004年12月25日

ジャンル:ドキュメンタリー 国:アメリ

 

内容

肥満症に悩む女性ふたりがファーストフード会社を訴えたニュースをきっかけに、1日3食1ヵ月間ファーストフードを食べ続けたら人間の体はどうなるかを検証した異色の食生活ドキュメンタリー。監督自らが身体を張って過酷な人体実験に挑む。

 

レビュー

皆さんはファストフードは好きでしょうか?私はマクドナルドやケンタッキー等の脂っこい食べ物は好きでは無いのであまり食べませんが、日清のカップラーメンは好きなので、割と食べます。

本作『スーパーサイズ・ミー』は、一か月間マクドナルドで売っている食べ物のみ食べ続けたらどうなるか?という企画を検証した、ドキュメンタリー映画となっています。

どう考えたって体には良くない試みでしょうが、まあゆうてそれほどの変化は起こらないだろうと、本作を鑑賞する前の私は思いました。精々口内炎が三個くらいできるくらいで済むに違いない、と。

が…実際のところ、この実験はあまりにも過酷でした。被験者であるモーガン・スパーロックさんがどうなるかは実際に映画を観て確かめて欲しいですが、まさかあそこまで健康状態が悪くなるとは…戦慄しました。

本作は公開するやいなや、あちこちにその余波(もちろん当のマクドナルドにも)を与えた様ですが、それも当然でしょう。「ファストフードは身体に悪い」とはよく言われる事ですが、まさかここまで体に悪いなんて、誰も思わなかったに違いありません。というより、商品を作って売ってる側は、自分達が売ってる商品がどれくらい有害か知っておけよ、って感じです。いや、知ってる上で売り出してたのかな…。

自業自得とは言え、白羽の矢をたてられたマクドナルド側は、本作が公開された後、不健康的なイメージを払拭する為に、スポーツ業界に出資したりと、様々な試みをする羽目になったらしいです。そんな事しても一度根付いたネガティブイメージは中々ぬぐえな様な気がしますが。少なくとも私は、しばらくはマクドナルドで売ってる商品を食べないつもりです。それだけ本作には大きな衝撃を受けました。

とまあこのように、本作はマクドナルドで売っている食品がいかに危険な物なのかを啓蒙している作品ではあるのですが、本作が最も力を入れて伝えようとしているのは、特定の企業の商品に対するネガティブイメージの増強ではなく、アメリカ社会を取り巻くマスメディアの在り方、ひいてはアメリカ型の資本主義システムの危険性そのものだと思います。監督も認めている様に、マクドナルドはアメリカ…いや、世界中の人間にとって最も身近な大企業であるが故に、実験対象として選ばれたに過ぎないのです。粗悪品を作り出し、あくどい売り方をしている企業は他にも沢山あります。

大企業は豊潤な資本を抱えていますから、大量の広告を作り出して、その広告を至る所に貼る事が出来ます。電車の中、街の景観の中、インターネットの中、テレビの中、まだまだ沢山…。

その上大企業は圧力団体を結成して政治家を操り、子供を自社製のアニメや、おまけの玩具(ハッピーセット等)を使って、自社製品に対して楽しいイメージを植え付け、自分達にとって都合の良い価値観に染めようと画策します。子供の頃からファストフードを食べまくってた人は、大人になってもそのままファストフードを食べ続けるでしょう。

近年ではマスメディアに対する不信感が世論の間でも強まってきていますが、大衆には自分達にとって都合の良い情報は容易く信じてしまう習性があります。これだけ大量の広告が存在している現代では、特定の企業が得をする…さらに突っ込んだ言い方をするのなら、一部の特権階級に属している人間だけが得をする仕組みは無くなりはしないでしょう。もし無くなるのなら、それは資本主義が崩壊した時だけだと思います。

マクドナルドの商品について論じてた筈なのに、いつの間にか話の規模がかなりエレファントになっていますが…まあ、つまり本作の特徴を一言で要約してしまうと、色々と考えさせる映画だ、という事です。アメリカ社会に対する批判を込めた本作を、アメリカ式の価値観に追随している、私達日本人こそ、見るべきだと思います。機会があったら、是非本作を鑑賞してみて下さい。

 

 

 

スーパーサイズ・ミー(字幕版)