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私ウゴが、読んだ本と、たまに映画と音楽の紹介をします。

異端の画家、フランシス・ベイコンの肖像 『フランシス・ベイコン・インタヴュー』

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フランシス・ベイコン・インタヴュー デイヴィッド シルヴェスター著 小林 等訳

                  ちくま学芸文庫

 

内容

歪んだ人物の顔、強烈な色彩。混沌を極めたアトリエから生み出されるベイコンの三幅対(トリプティック)は、特異な秩序をもって観る者に訴えかけてくる―「写実主義の崖っぷちを歩いているような絵を描きたいのです」。ベイコンが絵画を通じて表現しようとしたのは、まさに残酷なまでの生々しい現実だった―「芸術作品が残酷に見えるのは、現実が残酷だからです」。20世紀を代表する画家フランシス・ベイコンが自身の過去や制作過程について語った貴重な対談集『肉への慈悲』、待望の文庫化。

 

レビュー

本著作はイギリス人画家、フランシス・ベイコンに対して、本著作の著者であり、ベイコンの友人である、デイヴィッド・シルヴェスターが行ったインタヴューが収められたインタヴュー集であります。

「ところで、ベイコンって誰?聞いた事無い名前だけど、なんか美味しそうな名前だね」と皆さんは思ったかもしれません。なので、まず前提知識として、フランシス・ベイコンがどれだけ偉大な画家であったのか、説明したいと思います。

フランシス・ベイコン。彼の正体は…実は私もよく、彼の事を知りません(笑)

じゃあなんで、よく知らない画家のインタヴュー集なんて読んだんだよ。と皆さんは思った事でしょう。それは、私が偶然にも、インターネット上でベイコンが描いた絵を鑑賞したからです。

↓以下、ベイコンの絵

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いやー、私は本当に良い時代に生まれたものです。ボタン一つで、簡単に過去の芸術や知識に触れられる時代に生まれたのですから。インターネットは人類史上最も偉大な発明だと言っても、決して過言では無いと思います。はい。

私はベイコンの絵を一目見た瞬間に、彼が創造した世界観に魅了されてしまいました。この緊張感と、押し寄せてくる恐怖感、生々しい苛烈な暴力。しかしそれでいて静謐で、穏やかな空間…私はあまり美術には明るくないのですが、彼がとんでもない天才だという事は、はっきりと理解出来ます。

そしてもっとベイコンの事を深く知りたいと思った私は、インターネット上にある数多のウェブサイトを渉猟して周ったのですが、いまいち彼の人物像が見えてきませんでした。(日本でのベイコンの評価は、至極残念な事にイマイチの様です)

なので、彼のインタヴューが収められた本書を購入したという次第です。彼がどのような思想を持ち、どのような人生哲学の下に行動していたのか。本人が詳しく解説してくれています。

「芸術作品が残酷に見えるのは、現実が残酷だからです。」とベイコンは言います。つまり、彼は人々を怖がらせようと幼稚な企てを計画し、わざとグロテスクな絵画を描いた訳では無いのです。彼は物質の裏側に存在する、狂気の世界を真正面から見据え、見事にデッサンし続けたのです。

私は風景画や、ヒーリングミュージック、ストレスフリーな萌えーなアニメが嫌いです。何故わざわざ心地良いものを鑑賞しようとするのか?私にはその心が良く理解出来ません。芸術とは、プリミティブな破壊衝動を知性で昇華させ、体系立てたものである筈です。愛と平和を歌った温い作品など、紛い物とすら思います(私が勝手にそう思っているだけですので、別の意見を持ってる方は、それはそれとして純粋に尊重します)きっと、ベイコンも私と同じ様な意見を持っていたのでしょう。暴力こそが、混沌とした世に秩序をもたらし、真の意味での安らぎをもたらしてくれる…。

なんて事を思いながら、私は本著作を読み終えました。上記の絵を見て、少しでも心惹かれた方は、本著作を読んでみる事をお勧めします。偉大なる画家が、あなたの人生の助けとなる手掛かりを与えてくれるかもしれません。