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実写版まどマギ⁉ 鬱映画『マジカル・ガール』レビュー

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マジカル・ガール カルロス・ベルムト監督・脚本 

公開日:スペイン2014年10月17日 日本2016年3月12日 

上映時間:127分 ジャンル:サスペンス 国:スペイン

 

受賞

第62回サン・セバスティアン国際映画祭 作品賞・監督賞

 

第2回フェロス賞 ドラマ部門作品賞 ノミネート
監督賞 カルロス・ベルムト(スペイン語版) ノミネート
脚本賞 カルロス・ベルムト(スペイン語版) 受賞
主演男優賞 ルイス・ベルメホ ノミネート
主演女優賞 バルバラ・レニー 受賞
助演男優賞 ホセ・サクリスタン 受賞
スリラー部門作品賞 ノミネート
ポスター賞 受賞


第29回ゴヤ賞(2015年2月)
作品賞 ノミネート
監督賞 カルロス・ベルムト(スペイン語版) ノミネート
脚本賞 カルロス・ベルムト(スペイン語版) ノミネート
主演男優賞 ルイス・ベルメホ ノミネート
主演女優賞 バルバラ・レニー 受賞
助演男優賞 ホセ・サクリスタン ノミネート
新人男優賞 イスラエル・エレハルデ ノミネート

 

内容

白血病で余命わずかな12歳の少女アリシアは、日本のアニメ「魔法少女ユキコ」の大ファン。彼女の願いはコスチュームを着て踊ること。
娘の最後の願いをかなえるため、父ルイスは失業中にもかかわらず、高額なコスチュームを手に入れることを決意する。
どうしても金策がうまくいかないルイスは、ついに高級宝飾店に強盗に入ろうとする。まさに大きな石で窓を割ろうとした瞬間、
空から降ってきた嘔吐物が彼の肩にかかるー。心に闇を抱える美しき人妻バルバラは、逃げようとするルイスを呼び止め、
自宅へと招き入れる。 そして…。バルバラとの“過去"をもつ元教師ダミアンは、バルバラと再会することを恐れている。
アリシア、ルイス、バルバラ、ダミアン―決して出会うはずのなかった彼らの運命は、交錯し予想もしない悲劇的な結末へと加速していく…。

 

レビュー

本作『マジカル・ガール』は、スペインの映画です。しかし、そのタイトルと映画のポスターからも明らかなように、本作『マジカル・ガール』は、日本のカルチャーから大きな影響を受けています。監督と脚本を担当したカルロス・ベルムトさんによると、本作はテレビアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』映画『黒蜥蜴』から影響を受けたそうです。ちなみに映像作品以外にも、長山洋子のデビュー曲『春はSA・RA・SA・RA』が作中で使用されています。

「アニメから影響を受けた作品って事は、アニメみたいな作風の映画なの?」と疑問に思う人もいるかもしれませんが(実際このタイトル名は、ミスリードを狙う意味もあったそうですが)本作の内容は非常にシビアで、しかも暗いです。なにせ主人公が失業中で、生活に困っているくらいなので。アニメみたいな過剰にキラキラして甘ったるい世界観を期待して鑑賞すると、まず間違いなく気分が落ち込むと思うので、注意が必要です。といっても元ネタの『まどマギからしてハッピーな作風の作品という訳でもありませんが…(まどマギを知らない人の為に簡単に解説をすると、魔法少女アニメのマイルストーン的な作品です。絵柄自体はかわいらしいですが、内容はかなりエグイです)

この映画のテーマは「欲望のつながり」です。何かを得ようとすれば、必ずその代価を支払わなければならない。望みが大きなものであればあるほど、支払わなければならない代価も大きくなる。本作の主人公の娘、アリシアには「魔法少女ユキコが着るドレスを着て踊ってみたい」という望みがありました。しかし、その望みはあまりにも大きすぎました(アリシアが着てみたいと願う魔法少女ユキコのドレスは有名デザイナーが手掛けた一点モノで、なんと90万円という値がつけられていました。いくらなんでもこの値段は高すぎるのでは…私はコスプレ界隈の事は詳しくないので、この価格が適正なのかどうか、良く分からないのですが)本作の主人公であるルイスは、その途方も無い金額を得る為に、人の道に反する行動をとります。そしてその行動がさらなる悲劇を呼び寄せて…。そしてさらにその悲劇がまた別の悲劇を…といった感じで、どんどん新しい不幸が発現します。要するに、本作は『誰も幸せにならない系の作品』なのです。

個人的に本作のお気に入りのシーンは、アリシア魔法少女のコスチュームを手に入れ(まあ、ポスターの時点でコスチュームを着てるアリシアが描かれていますし、ネタバレにはならないでしょう…多分)喜ぶかと思ったら魔法のステッキが無い為にちょっと落ち込むシーンです。欲望というものは、満たそうと思っても決して満たされないものなのでしょう。あれも手に入れられれば、これも欲しいと願いだす。そんな不毛な行為を繰り返し続ければ、待ち受けているのは破滅だけ。しかし、そのような悲劇的な結末が待っている事に薄々気付きながらも、人は分相応な願いをなんとかして叶えようとしてしまう。人間の愚かさを端的に表わした名シーンです。

という訳で、本作『マジカル・ガール』のレビューを終えます。一風変わった作品でありますが、名作である事は疑いようの余地の無い作品だと思うので、是非鑑賞してみて下さい。

 

 

マジカル・ガール(字幕版)

マジカル・ガール(字幕版)

  • 発売日: 2016/10/05
  • メディア: Prime Video