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メタルギアソリッド レビュー

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メタルギアソリッド レイモンド・ベンソン著  富永 和子訳 角川文庫刊

発売日 : 2008/5/24 ジャンル:ポリティカル・フィクション 国:アメリ

 

内容

アラスカの孤島にある核廃棄施設で、訓練中の次世代特殊部隊フォックスハウンドが蜂起、要求が受け入れられなければ核を使うと米政府に通告してきた!キャンベル大佐によって、単独潜入を命じられた元隊員のソリッド・スネーク。彼はそこで、メタルギアREXが開発されていたことを知る。蜂起の首謀者リキッドとは何者なのか?任務に隠された秘密とは?果して、ソリッド・スネークは核ミサイル発射を阻止できるのか。

 

映像化作品

ハリウッドで、現在(2020年)映画の製作がされているようです。

 

レビュー

本作はコナミコンピュータエンタテイメントジャパンから発売されたゲーム、『メタルギアソリッド』のノベライズ版です。

ちなみに同ゲームのノベライズ版は本作だけでなく、もう一つ、野島一人さん(ところでこの人一体何者なのでしょう?)が執筆を担当したものが、2015年に発売されています。

個人的な好みとしてはレイモンド・ベンソンさんが執筆したこのバージョンのノベライズ版の方が好きですね。アメリカ人が執筆したという事もあって、まるでアクション映画や海外ドラマのノベライズを読んでいるような、タイトでスタイリッシュなハードボイルドの世界観を存分に堪能できます。

対して野島一人さんのバージョンの方は、読者に対するメタ的な問いかけや、ノベライズ版オリジナルの展開が時節挿入されます。後者はともかくとして、個人的に読者にメタ的な問いを手法は、私はあまり好きでは無いので、ちょっと受け入れられませんでした。まあ、この辺は個人の好みによるでしょう。

とはいえ、元がそもそもゲームなので、ノベライズ版など読まないでゲームの方をプレイしてみるというのもありです。しかし、このゲームが発売されたハードは初代プレイステーションなので、現行のハードで発売されたゲームに遊び慣れた人がプレイしてみると、少々きつい部分があるかもしれません。リメイク版も発売されているようですが、それもゲームキューブという何世代も前のハードから発売されている為、同様です。

しかもこのゲーム、結構難易度が高いです。ゲーム初心者がプレイしてみると、まず間違いなく序盤で躓くと思います。かくいう私も元々プレイステーション版をプレイしてみて、序盤も序盤で躓きました。(私はスーパーマリオですら八面までクリア出来ない様なゲーム音痴です)その為本作を買って、読みました。本を読むのは得意ですから(笑)

今回何故一昔前のゲームのノベライズをレビューしようと思ったかというと、ハリウッドで現在映画化の企画が進んでいるというニュースを見たからです。日本製コンテンツの実写化と聞くだけで、なんかもう条件反射で身構えてしまいますが…まあしかし、『ポケットモンスター』の実写映画も面白かったですし、現在『モンスターハンター』の実写映画も中国先行で上映されていますし(ですが早速人種差別的な表現があるとこで炎上しています。なにやってるんだか)まあ、過度の期待は御法度ですが、少しは期待してます。流石にもう懲りてるだろうから、『ドラゴンボール』の実写映画程は酷くならないと思いますし…。

前置きが長くなってしまいましたが、いよいよ本作のレビューをしていきたいと思います。この小説、というかゲームですが、その内容を一言でまとめると、もう滅茶苦茶です(笑)『自分の好きな物全部詰め込んでやったぜー!どうだ?面白いだろ?』そんな声がどこからか聞こえてくるよう。

主人公スネークの見た目は『ニューヨーク1997』のスネーク・プリスキンにそっくりですし、ストーリーは殆ど『ザ・ロック』の引用ですし、タイトルにもなっている二足歩行型ロボット、通称メタルギアはどうみたって『ガンダム』ですし、リー・ヴァン・クリーフそっくりのガンマンが敵役として出てきますし、唐突に超能力者が登場しますしし(どういう世界観なのでしょう?)『仮面ライダー』みたいな改造人間が出てきますし、物語の最後の方は『ガタカ』みたいな展開になりますし、一番最後は何故か『あしたのジョー』みたいにラスボスと殴り合います。主人公スネークの性格設定も、ニヒルで女好きで、喫煙者で孤独好きで…と、ハリウッドのアクション映画のお約束みたいな性格をしてます。

こんな闇鍋みたいな滅茶苦茶な物語なのですが、どういう訳だがちゃんと成立しています。というかむしろ、かなり細かいところまで詳細に練られています。その力技がすごい。

また、単なるエンターテイメントとしての要素だけでなく、ゲーム発売当時に問題になったヒトゲノムや、未だ世界中に数多く点在する核兵器、そしてゲーム発売当時はまだ発生していない筈の、2001年9月11日の同時多発テロを想起させるような作中の展開、ひいては非対称戦争時代の危うさや、アメリカ帝国主義に対する批判もなされるなど、現実の社会問題にもフォーカスが当てられています。非常に懐が広い作品なのです。

本作はどちらかというと日本よりも海外、特にアメリカで支持されているような印象が強いですが、それも頷けます。アジアの端っこの国から、これ程までに独創的で、そして面白い作品が飛び出して来たら、手ばなしで称賛する他無いでしょう。実際本作は、米国の『フォーチュン』誌にて「20世紀最高のシナリオ」と称されました。

しかし…あくまで個人的な見解ですが、今作以降の続編作品は、どうしてもあまりにも衒学的になりすぎたと感じてしまいます。元々今作の時点で結構説教クサかったですが、その傾向はさらに強まり、また、物語もどんどん複雑化していき、最終的には本来一番大切な部分であるエンターテイメント性すら、肥大化した物語の脂肪に押しつぶされてしまったような印象があります。特にシリーズ最終作であるVは、ゲーム性はともかくシナリオ部分はあまりにもあまりな出来でした。(後続作品は実際にゲームをプレイしています)もう少しなんとかならなかったのでしょうか。文学的な要素とか哲学的な要素とか、社会問題とかはあくまで副産物であり、娯楽作の主題は娯楽性であると思います。繰り返しになりますが、あくまで一個人の感想です。

長くなりましたが、今作『メタルギアソリッド』は日本を代表する偉大な作品です。是非このノベライズを手に取るか、ゲームを遊んでみて下さい。

 

 

メタルギア ソリッド (角川文庫)

メタルギア ソリッド (角川文庫)

 

 ↓同ゲームの、別バージョンのノベライズです。読み比べてみるのも面白いかも。

 

 ↓原作ゲーム

 

メタルギア ソリッド

メタルギア ソリッド

  • 発売日: 1998/09/03
  • メディア: Video Game