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私ウゴが、読んだ本と、たまに映画と音楽の紹介をします。

沈黙 レビュー

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沈黙 遠藤周作著 新潮文庫

 

内容

転びキリシタン」もまた、「神の子」なのか?
カトリック作家が描く、キリスト教文学の最高峰。

島原の乱が鎮圧されて間もないころ、キリシタン禁制の厳しい日本に潜入したポルトガル人司祭ロドリゴは、日本人信徒たちに加えられる残忍な拷問と悲惨な殉教のうめき声に接して苦悩し、ついに背教の淵に立たされる……。
神の存在、背教の心理、西洋と日本の思想的断絶など、キリスト信仰の根源的な問題を衝き、〈神の沈黙〉という永遠の主題に切実な問いを投げかける長編。

 

映像化作品

1971年に篠田正浩監督により、『沈黙 SILENCE』の題名で。2016年にマーティン・スコセッシ監督監督が、『沈黙 -サイレンス-』の題名で、それぞれ二回映画化されています。後者の映画はタイム誌の企画「Top 10 Everything of 2016」で、「2016年に公開された映画のトップ10」の第5位に選ばれるなど、評価が高いです。

 

レビュー

この本は、普段殆ど本を読まない筈の父親に進められて読み始めました。

ページを少し進めた辺りで、「これはとんでもない作品だ」と気付き、一気に本を読み終えたのを良く覚えています。

志を胸に、日本にキリストの教えを啓蒙する為にはるばるポルトガルからやってきた宣教師、ロドリゲス。しかし当時の日本では、既にキリスト教は弾圧されていました。彼を待ち受けるのは過酷な運命で…というのが本作のあらすじです。

はっきりいって、私はアジアやアフリカにまでやってきて自分達の教えを広めようとするキリスト教の宣教師に対して、元々良い印象を抱いていませんでした。人間なら誰しも、異質な文化に対してネガティブな反応を示す傾向が存在すると思います。それが宗教なら尚更でしょう。ましてや当時の日本には既に、独自の文化があったのですから。

というよりそもそも『宗教』そのものに対して、正直言って自分には抵抗感がありました。なんというか、得体の知れぬ胡散臭さのようなものを感じていたのです。というか、今でも感じています。しかし自己弁護するようですが、殆どの日本人は宗教に対してそのようなイメージを持っていると思います。日本人ほど宗教観が適当な民族は中々いないでしょうし。一神教のストイックな思想は、日本人からしてみればまるで意味不明です。

ロドリゲスと日本人の思想は決して受け容れません。彼がどれだけ神を慕っていても、その想いは現地の日本人には届かないのです。

現地の日本人が考える事が、私にはよく分かります。「なんでわざわざ日本にまで来たんだよ。呼んでもないのに勝手にくるなよ。日本にいたけりゃこっちの考え方に合わせろ」まあ、こんな感じなのでしょう。今でも日本の体質はあまり変わっていないような気がします。

そうして思想を持つ日本人たちに囲まれている内に、次第にロドリゲス自身も神の存在について懐疑的になっていきます。そして最終的に彼がとった手段は…。

恐らく西洋のクリスチャンの方が全く同じテーマと舞台と登場人物を使って本作を描いていたら、本作の内容は大きく変わっていたと思います。最後の最後で、ロドリゲスは神によって救われる…過酷な途中経過があったとしても、最後には信仰心が勝利を収めるのだ…。きっとそんなストーリー展開になっていた事でしょう。

しかし遠藤周作カトリックの洗礼を受けてはいますが、日本人です。恐らく彼は生涯、日本人である事とキリスト教徒である事への摩擦に苦しんだのでしょう。その苦しみが、このような偉大な作品を生み出したのだと思います。

宗教とは何か?日本人とは?神は本当にいるのか?殆どの人間が素通りしてしまう様な大きな問題に、真正面から見据えて作り出された珠玉の名作です。是非御一読下さい。

 

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