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砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない レビュー

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砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない 桜庭一樹著 

 

内容

その日、兄とあたしは、必死に山を登っていた。見つけたくない「あるもの」を見つけてしまうために。あたし=中学生の山田なぎさは、子供という境遇に絶望し、一刻も早く社会に出て、お金という“実弾”を手にするべく、自衛官を志望していた。そんななぎさに、都会からの転校生、海野藻屑は何かと絡んでくる。嘘つきで残酷だが、どこか魅力的な藻屑となぎさは序々に親しくなっていく。だが、藻屑は日夜、父からの暴力に曝されており、ある日―。直木賞作家がおくる、切実な痛みに満ちた青春文学。

 

レビュー

私が桜庭一樹先生の本を読んだのは、小学校高学年頃だったと記憶しています。書店のおすすめコーナーに陳列されていた、角川文庫版のGOSICKを手に取ったのです。

20世紀のヨーロッパを舞台に繰り広げられる物語は、オーソドックスな少年少女の成長物語でありながら、どこか物悲しい。当時の私の友達は、皆少年漫画に夢中でしたが、私はイマイチそのブームには乗れませんでした(ドラゴンボールは好きでした)代わりに嵌っていたのが本でした。そしてその中でも、桜庭一樹先生はお気に入りの作家でした。(最も他にも好きな作家は沢山いましたが)

本作『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』は、最近になって初めて読みました。GOSICKはボーイ・ミーツ・ガールの物語でしたが、本作はガール・ミーツ・ガールの物語。ついでに言うと成長物語でもありません。現実に翻弄されてしまう、二人の女子中学生の物語です。

本作は元々ライトノベルのレーベルで発表された作品でありながら、後に一般文芸で発表されるという珍しい経緯を辿った作品でもあります。それだけ幅広い年代の人々に支持されているという事でしょう。

二人の女の子は非力で、現実を打破する事が出来ません。圧倒的な暴力の前では、ただ怯える事しか出来ないのです。しかしその『圧倒的な暴力』の形は、現実の世界でもありふれたものだと事実が悲しい。読者の心を抉ってきます。

恐らく一般受けはしない作品だと思いますが、刺さる人には刺さる物語だと思います。要するに、好き嫌いがはっきり分かれる作品です。私はどちらかというGOSICKの方が好きですが、筆者の桜庭一樹先生本人はこちらの作品の方が気に入っているのかな?なんとなくそんな気がします。

元々ライトノベルのレーベルで発売された事もあって、読み易い文体でスラスラ読んでいきます。それだけに重苦しいストーリー展開にはショックを受けやすい気がしますが…是非手に取って読んでみて下さい。