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コラテラル レビュー

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内容

キネマ旬報社」データベースより
トム・クルーズが初の悪役に挑んだことで話題を呼んだサスペンスドラマ。L.A.のタクシー会社に勤めるマックスは、ヴィンセントと名乗る紳士風の男を乗せたことがきっかけで殺人の手伝いをさせられるハメになり…。

「Oricon」データベースより
麻薬組織に雇われた殺し屋を乗せてしまったタクシー運転手が巻き込まれるトラブルを描くサスペンス・アクション。出演はトム・クルーズジェイミー・フォックスほか。

 

レビュー

「女の子にはキャーキャー言われて、金も稼いでいる。だけど批評家には見向きもされない…俺達はトム・クルーズみたいな存在さ」というような台詞を、ロックバンドボン・ジョビのメンバーが言ったとか言わなかったとか。

要するに、トム・クルーズという俳優は、まるでB級グルメの様なパブリック・イメージを持たれているという事でしょう。自分は世代でないのでよく分かりませんが。

しかしこの映画を見れば、トム・クルーズの印象はまるで変わってくると断言出来ます。余談ですが、「インタビュー・ウィズ・バンパイア」という作品でもトム・クルーズは名演技を見せてくれているので、そちらの映画もご覧になってみて下さい。

話を「コラテラル」に戻します。この映画の監督は、「ヒート」を撮ったマイケル・マンです。熱い男の世界を描くのを得意とする監督ですね。

しかし正直なところ、私は「ヒート」にはあまりのめり込めませんでした。「何か暑苦しい映画だなぁ」という感想を抱いてしまったのです。

しかし「コラテラル」は違いました。私は最初から最後まで、食い入るようにこの映画を見ていました。この映画、熱いのですが、それと同時に冷たいのです。「ヒート」過ぎないといいますか。

トム・クルーズが演じているのは、冷徹な殺し屋であるヴィンセント。彼は人を人と思わない凶悪な人間ですが、非常に教養豊かで、頭のきれる論理的な思考を持つ男。彼曰く、「地球上ではこの瞬間も人が死んでいっている。だから目の前で人が死んでも俺は気にしない」らしいです。なんかシャーロック・ホームズもそんな事を言っていた様な気がします。

そんな冷酷な殺し屋の仕事に巻き込まれたタクシー運転手のマックスは、これといった特徴の無い平凡な男。大きな夢を持ってはいますが、具体的にその夢を叶える為の努力は殆どしていません。彼はただ、チャンスが訪れるのを待っているだけなのです。

二人の考えは対照的です。マックスは、ロサンゼルスの街に住んで居る人々を「家族」と呼びますが、ヴィンセントは人の生死に全く関心がありません。彼にとっては、殺し屋の仕事こそが人生の全てなのです。

相いれない二人ですが、主導権は完全にヴィンセントにあります。マックスは最終的にヴィンセントに殺される羽目になるのを薄々気付きながら、これまでの人生で染み付いた人任せな人生観が災いして、何の反撃も出来ません。それどころか、消極的にではあるにしろ、ヴィンセントの仕事を手伝いだす始末。

果たしてマックスの運命や如何に⁉というのがこの映画のあらすじです。しかし、単なるサスペンス映画と侮るなかれ。この映画には「人生をどのようにして生きればいいのか?」という誰もが一度は考えるであろう問題に、真摯に向き合っていると思います。

一見するとヴィンセントは社会の秩序や常識など一切無視し、己が人生を享受しているように見えますが、もしかしたら本当は違っていたのかもしれません。作中では深くは触れられませんが、彼は幼い頃、不条理にも過酷な環境に身を置かれていたらしいです。環境のせいで人の心を失い、暴力の世界に身を投じてでしか生きられなくなってしまったのかもしれません。そのように仮定して見ると、ヴィンセントはなんとも悲しい男に思えてきます。結局のところ、彼も誰かの人生に巻き込まれた(コラテラル)に過ぎなかった…。

しかしそのような小難しい話しは抜きにして、娯楽作として見ても十分に楽しい作品だと思います。是非ポップコーンでも片手に持ってご覧になって下さい。

 

 

コラテラル (字幕版)

コラテラル (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video