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ドッグ・イート・ドッグ レビュー

ドッグ・イート・ドッグ エドワード・バンカー著 黒原敏行訳

 

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内容

12年間の刑務所づとめを終えて、出所したばかりのトロイは、うまい話をもちかけられた。ロサンゼルスの大物麻薬業者のブツを強奪する計画だ。警察に通報される心配はないし、儲けは大きい。トロイは少年院時代からの仲間―金のためならば放火や殺しも辞さないディーゼルとすぐに頭に血がのぼるコカイン狂いのマッド・ドッグとともに計画を実行するが…非情かつ暴力的に、しかも独自の視点で犯罪者を描く、話題の長篇。

 

映像化作品

2016年にニコラス・ケイジ主演で映画化されています。

 

エドワード・バンカーとの出会いは、活字の海の中…ではなく、銀幕の向こう側でした。

史上最もスタイリッシュで、イケてる映画と言っても過言ではない『レザボア・ドッグス』のオープニングで、彼はMr.ブルーとして確かな存在感を放っていました。

 

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なんだこの俳優⁉スゲェ迫力だ!見た事無い人だけど、さぞ名のある名優に違いない!そう思って調べてみると、驚いた事に彼の本業は俳優ではなく、作家だったのです。しかも役柄と同様、実際に服役経験があるというではありませんか!

なんでもレザボア・ドッグスの監督であるクエンティン・タランティーノエドワード・バンカーのファンだったらしいですね。バンカーが『レザボア・ドッグス』に出演しているのは、タランティーノ流のリスペクト方法だったようです。

タランティーノに影響を与えた、刑務所帰りの作家…一体どんな本を書くんだ?私の好奇心はどんどん膨らみ、いつのまにかamazonで彼の本を買っていました。

いざ商品が届き、封を開けてみると、そこには煙草の臭いが染みついた本がありました。(中古で買いました)おいおい、雰囲気バッチリだな…苦笑しながら私はページを捲りだしました。そこに描かれていたのは、切れ味抜群の攻撃的な台詞を吐くアウトロー達と、格調高い文体に彩られた異色の世界でした。

彼の文体は非常に知性的です。幼い頃から本の虫だったバンカーは、犯罪者達が悪行を重ねる世界の中に文学的なエッセンスを見出しました。その為、バンカーの作品は世に点在する数多の凡庸な犯罪小説とは一線を画しています。

ストーリーはシンプル。主人公のトロイは『ディーゼル』『マット・ドッグ』という二つ名を持つ仲間と共に、強盗の計画を建てます。しかし事態は思わぬ方向に暴走していき…というあらすじです。ノワール小説としての趣きが強いですね。

この二人の仲間の『ディーゼル』と『マット・ドッグ』は、主人公トロイが抱いている両極端な願望をそのまま具現化させた様。ディーゼルは女と一緒に穏やかな生活を送りたいと願い、マット・ドッグは犯罪行為そのものに魅了され、ただスリルを感じられればそれでいいと考える危険人物です。

トロイは二人の気持ちを痛い程理解しています。しかし、お互いに反目し合う望みを持つディーゼルとマット・ドッグはそうではありません。その噛み合わない歪な関係が、三人の運命を狂わせていきます。

ラストに待ち受けるもの、それは…それはバンカーが作家にならず、犯罪者として生き続けていた場合の『もしもの世界』の結末だったのでしょう。バンカーは自分自身の人生を冷徹に観察し、その物語を結晶化させ、素晴らしい作品を世に放ちました。

 

 

 

ドッグ・イート・ドッグ(字幕版)

ドッグ・イート・ドッグ(字幕版)

  • 発売日: 2017/11/03
  • メディア: Prime Video